お久しぶりですね。
ホボハチのエンジニアのほうです。
GWでした。多くの方が10連休だったんですかね。国民のどれだけが社会復帰に失敗したのでしょうか。
さて、今回我々はGWでも混んでないであろう場所を狙って、岡山県は「奈義町現代美術館」に行って参りました。
長い記事になりそうなのでとりあえずここに公式HPのリンクだけ置いときますね。こんなところです。
奈義町ってどこ?どんな街?
岡山県の山奥。ほぼ鳥取ですね。
なかなか行きづらい場所です。
なんで行ったかって?
主たる目的は荒川修作+マドリン・ギンズの作品を鑑賞するためです。
国内にあり見学できる彼らの作品は3つあります。
・岐阜県養老町「養老天命反転地」(公園)
・東京都三鷹市「三鷹天命反転住宅~In Memory of Helen Keller~」(集合住宅)
・岡山県奈義町 奈義町現代美術館内「遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体」(空間作品)
ちなみに見学はできませんが、愛知県名古屋市に「志段味循環型モデル住宅」という住宅があります。愛知万博に合わせて建てられ、当時は見学ができたそうな。
「養老天命反転地」はここ数年インスタ映えスポットとして東海近辺の学生がよく訪れるようになりました。かくいう自分も学生時代に何も知らぬまま行ってました。
昨年、「三鷹天命反転住宅」を訪れたことで、奈義町の作品にも俄然興味が湧いてしまい、足を伸ばしたというわけです。
いざ、奈義町現代美術館へ
那岐山を望む入り口の作り方にすでに意図が感じられますねえ
3つの空間からなる奈義町現代美術館
さて、前知識はほとんど入れずに来てしまったわれわれは、まずこの設計に驚きます。
2019年プリツカー賞を受賞した磯崎新の設計です。(建築界のノーベル賞みたいなもの)
美術館や文化会館的などを多く設計している建築家です。
そんな磯崎さんが当時の奈義町の年度予算の半分を使って建てたのがこの奈義町現代美術館
大きく3つの部屋からなり、部屋そのものが作品となっている。間をつなぐスペースにはそれぞれの部屋の構想段階の習作が展示されていて、背景を伺うことができます
「大地 ≪うつろひ-a moment of movement≫」宮脇愛子
入って最初に出会う作品はこちら。
水面に張られたワイヤーが生を感じさせます。風や雨、雪、また、日当たりによって表情を変え続けるそうで。なんとこのため池、年に一度溝を抜いて掃除するにも関わらず、毎年生態系が形成されるですって。よく見るとちっこいイモリがいっぱい。これには専門の学者からしても珍しいことなんだそうで。生き物と自然と共生する作品って不思議な感じでおもしろいです。
また、この作品は屋内部分にも展開されています。外と内、静と動、いろんな対比が感じられます。
この内部の方ではコンサートイベントが開催されたりすることも。
人、自然、時間、生き物、いろんな要素の気配を感じることができる作品でした。
冬の夜とかにも見てみたい。
「月 ≪HISASHI-補遺するもの≫」岡崎和郎
二つ目の作品へ。
細長く天井の高い不思議な空間。案内してくださった学芸員の方が「手を叩いてみてください」と、言われるままに叩いてみるとものすごく響くんです。不思議な体験。
普通の会話も響く。否が応でも自分の声に効果がつく。変な感じ。
そしてこの部屋の奥にある窓、中秋の名月が綺麗に見えるように配置されているそうです。まさに「月」
ここでも自然と共生していますね。あゝ、清い。
「太陽 ≪遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体≫」 荒川修作+マドリン・ギンズ
そしてそして
今回の大本命、「太陽」。
この部屋に辿りつくためには、狭い螺旋階段を登る必要があります。バリアフリーなんて概念は一切なし。尋ねると、やはり車椅子のお客さんには諦めてもらうことが多いとのこと。ですが、僕たちが訪れる少し前に、同行者の手を借りて、この部屋にたどり着いた車椅子の方がいたんですって。
学芸員さんと同行者の二人でその方を担ぎ上げ、ぜえぜえ言いながら太陽の部屋まで運んだんです。
それこそが荒川修作の意図していたことだったそうで。「バリアフリーも大事かもしれないが、それ以前にお互い手を取り合って、助け合って生きることが最高のバリアフリーだろう」と。
言葉が出ませんでした。
さて、こちらが太陽の中の様子です
筒状の大きな部屋で、南に向く幕から太陽の光を感じることができます。左右には京都嵐山の龍安寺の枯山水の庭を模した庭が。そして天井には少し大きく作られたシーソーとベンチが。遠近感が狂います。床が歪んでいることもあり、平衡感覚が奪われるような錯覚に陥ります。三鷹天命反転住宅で感じた感覚です。
錯覚を起こせるだけ、自分たちには普段の感覚が染み付いていることを教えられました。そして、その感覚のおかげで生きれているのではないかと思うくらい。
ここもまた時間の経過・天候でかわる作品でした。清い。
発見
美術全体で、自然と共生して、人の感覚を研ぎ澄ませてくれる美術館でした。
また是非、訪れたい。何度でも行きたい。
今回は晴れた春の日の訪問だったが、夏・秋・冬、雨・雪・曇り、朝・昼・晩で全て違う体験ができるんだろうなと思うと、全て感じてみたくなっちゃいますね。
いい時間・空間でした。可能ならここで結婚式をあげたい。ダメなら写真だけでも。
今回、案内してくださった学芸員の遠山さん(中央)。また次回も案内していただきたい。
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